948年(天暦2年)7月某日。京の一角にある社にて。

その日の夜は、普段とそう変わりなかった。

とても穏やかな空気が流れていた。

式の一人・未桜(ミオ)は縁側で好物の甘栗子を頬張り、

もう一人の式・令桜(レオ)もまた、その隣で大好きな削り氷に舌鼓をうっていた。

このところ鬼は大人しく、京切っての陰陽師である主人公も安堵して二人を見ていた。

それは油断だったのか。

社の庭に一匹、迷い込んでいる存在に、気が付いた時には遅かった。

・・・狐？

雷撃が襲う。

普段自分が得意とする術だ。

「なに！？」「主(あるじ)様！」

最後に聞こえたのは、信頼する式神たちの声だった。

大丈夫。君たちに任せた。

主人公の意識は静かに遠のいていった。。